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2008年08月02日
チュムペンの鉄の足
チュムペンは日本人観光客をガイドする係
だからけっこう日本語をしゃべれる。
ありがとう・こんにちは・はじめまして・さようなら
チュムペンは近くの村で生まれたて、今はここでガイドの役をしている。
観光客はみんないい人で、たくさんのお金を払う。でもソクコムさんがそのお金のほとんどをもっていくのでチュムペンは少ししかもらえが、幼いきょうだいをやしなうには仕事が必要だ。文句は言っていられない。毎日家から歩いて二時間の距離を通っていることを知ると観光客は驚いた。子供にこんな労働を強いるなんてかわいそうだという人もいた。はだしではしってくるからチュムペンの足は硬くぶあつい皮でおおわれていた。それは鉄のように黒光りしていて、チュムペンはとても自慢だった。
観光客は毎日、世界中からかならずやってきた。それがチュムペンのあたりまえの日常だった。みんなダラダラと重そうな体をゆすってバスからおりてくる。シミひとつないシャツを着てぴかぴかのサングラスをかけてやってくる。チュムペンの国にはたくさんの地雷が埋め込まれている。チュムペンが生まれるずーっと前に戦争で数多くの爆弾が埋め込まれたままになっているらしい。リムシターイも、アーチーさんも、マラディーも足を吹き飛ばされたからそれは本当の事なんだろう。絶対に入ってはいけないと言われるところまで環境客を案内する。「進入禁止」の札のそばで、不安そうに遠くを見る観光客。最新式のデジタルカメラで撮影をする。そして募金をする。1ドルで地雷が一個除去できると描いてある看板とともに置かれた募金箱。観光客はそこに数ドルを入れて仕方なさそうな表情をしてたちさってゆく。いくらお金があっても地雷の除去には、まだまだ数十年がかかるそうだ。
チュムペンは夢を見た
チュムペンの鉄の足をみて観光客が大喝采をする夢だ。
毎日毎日たくさんあるくチュムペンの足はいつしかホンモノの鉄とかわらないくらい固く丈夫になっていた。チュムペンが誇らしそうに観光客の前に登場をすると、大歓声がわき上がる。もちろん家族のみんなも声援をおくっている。テレビ局のカメラが何台もかけつけ、世界中の言葉でチュムペンの事を世界中に伝えている。大勢が見守る中、「進入禁止」の看板をくぐりチュムペンが地雷原にたつ。観客はかたずをのんで静まりかえり、いまから起こることを見逃すまいと、目をみはっていた。
チュムペンは自分の足が誇らしくてしかたなかった。だってこの日のために毎日長い道をはしって来たのだから。おおきく深呼吸をしていつかみた陸上競技の選手のようにスタートラインにつくふりをしてみた。両手をぐっとまげて地面に軽くキスをすると、縮めたバネがはじけとぶように地平線に向かって飛び出した。あたりはスローモーションになりぶあつい大気の底、うなりをあげてチュムペンはかけだした。数歩もすすまないうちにチュムペンの足は最初の地雷をとらえた。スローモーションの中、爆発とともに煙が立ち上がる。低くえぐるような重低音がチュムペンの足下から空へ走り抜ける。チュムペンの鉄の足は爆発の衝撃をはじき返しながら煙の中から現れる。チュムペンの鉄の足は傷つくどころか、かえって黒光りをましている。額からゆっくりと汗がつたい落ちる。白い歯をすこしのぞかせてチュムペンは笑う。さらに数歩すすむとつぎの爆弾をチュムペンの鉄の足がとらえる。こんな爆発じゃぼくの足はふきとばないぞ。かかってこい!チュムペンはほこらしかった。
何も出来ない観光客はたちあがって喝采していた。中には涙を流す者もいた。抱き合っている人の中にしっている顔があった。リムシターイと、アーチーさんが抱き合って喜んでいる。チュムペンが地雷を吹き飛ばす毎になくなってしまった彼らの足がすこしづつ、うっすらとよみがえってゆくからだ。10個、20個、、、、、チュムペンの鉄の足が地雷を爆破するたびに世界がすこしづつ美しくなって行く。30個、40個、、、マラディーはだまってこっちを見ている。完全に足がもとどおりになっていた。ふだんあまり感情をおもてにださないヤツだがきっとマラディーなりにキモチをつたえたかったんだとおもう。
ぼくはまだまだいける。止まってしまうようなカンジがまったくない。この黒光りする鉄の足は全然絶好調だ。せかいのはてまで走ってやる。この国を出て、海を走り、ここに地雷をうめたヤツをふみつぶしてやる。ぼくはそのために生まれた。ぼくは、鉄の足をもつ男、チュムペンだ。
今日も日本人観光客がだるそうにバスから降りてくる。ぼくの固そうな足を見て同情をするような表情を見せて目をそらす。ぼくはあかるくはじめましてありがとうと言う。ぼくには夢がある。夢があるから大丈夫だ。多少きつい日もあるが、なにせすごい夢を見た。だから大丈夫だ。
ぼくは、鉄の足をもつ男、チュムペンだ。いまに世界中のわるいものをチュムペンの鉄の足がふみつぶす。
だからけっこう日本語をしゃべれる。
ありがとう・こんにちは・はじめまして・さようなら
チュムペンは近くの村で生まれたて、今はここでガイドの役をしている。
観光客はみんないい人で、たくさんのお金を払う。でもソクコムさんがそのお金のほとんどをもっていくのでチュムペンは少ししかもらえが、幼いきょうだいをやしなうには仕事が必要だ。文句は言っていられない。毎日家から歩いて二時間の距離を通っていることを知ると観光客は驚いた。子供にこんな労働を強いるなんてかわいそうだという人もいた。はだしではしってくるからチュムペンの足は硬くぶあつい皮でおおわれていた。それは鉄のように黒光りしていて、チュムペンはとても自慢だった。
観光客は毎日、世界中からかならずやってきた。それがチュムペンのあたりまえの日常だった。みんなダラダラと重そうな体をゆすってバスからおりてくる。シミひとつないシャツを着てぴかぴかのサングラスをかけてやってくる。チュムペンの国にはたくさんの地雷が埋め込まれている。チュムペンが生まれるずーっと前に戦争で数多くの爆弾が埋め込まれたままになっているらしい。リムシターイも、アーチーさんも、マラディーも足を吹き飛ばされたからそれは本当の事なんだろう。絶対に入ってはいけないと言われるところまで環境客を案内する。「進入禁止」の札のそばで、不安そうに遠くを見る観光客。最新式のデジタルカメラで撮影をする。そして募金をする。1ドルで地雷が一個除去できると描いてある看板とともに置かれた募金箱。観光客はそこに数ドルを入れて仕方なさそうな表情をしてたちさってゆく。いくらお金があっても地雷の除去には、まだまだ数十年がかかるそうだ。
チュムペンは夢を見た
チュムペンの鉄の足をみて観光客が大喝采をする夢だ。
毎日毎日たくさんあるくチュムペンの足はいつしかホンモノの鉄とかわらないくらい固く丈夫になっていた。チュムペンが誇らしそうに観光客の前に登場をすると、大歓声がわき上がる。もちろん家族のみんなも声援をおくっている。テレビ局のカメラが何台もかけつけ、世界中の言葉でチュムペンの事を世界中に伝えている。大勢が見守る中、「進入禁止」の看板をくぐりチュムペンが地雷原にたつ。観客はかたずをのんで静まりかえり、いまから起こることを見逃すまいと、目をみはっていた。
チュムペンは自分の足が誇らしくてしかたなかった。だってこの日のために毎日長い道をはしって来たのだから。おおきく深呼吸をしていつかみた陸上競技の選手のようにスタートラインにつくふりをしてみた。両手をぐっとまげて地面に軽くキスをすると、縮めたバネがはじけとぶように地平線に向かって飛び出した。あたりはスローモーションになりぶあつい大気の底、うなりをあげてチュムペンはかけだした。数歩もすすまないうちにチュムペンの足は最初の地雷をとらえた。スローモーションの中、爆発とともに煙が立ち上がる。低くえぐるような重低音がチュムペンの足下から空へ走り抜ける。チュムペンの鉄の足は爆発の衝撃をはじき返しながら煙の中から現れる。チュムペンの鉄の足は傷つくどころか、かえって黒光りをましている。額からゆっくりと汗がつたい落ちる。白い歯をすこしのぞかせてチュムペンは笑う。さらに数歩すすむとつぎの爆弾をチュムペンの鉄の足がとらえる。こんな爆発じゃぼくの足はふきとばないぞ。かかってこい!チュムペンはほこらしかった。
何も出来ない観光客はたちあがって喝采していた。中には涙を流す者もいた。抱き合っている人の中にしっている顔があった。リムシターイと、アーチーさんが抱き合って喜んでいる。チュムペンが地雷を吹き飛ばす毎になくなってしまった彼らの足がすこしづつ、うっすらとよみがえってゆくからだ。10個、20個、、、、、チュムペンの鉄の足が地雷を爆破するたびに世界がすこしづつ美しくなって行く。30個、40個、、、マラディーはだまってこっちを見ている。完全に足がもとどおりになっていた。ふだんあまり感情をおもてにださないヤツだがきっとマラディーなりにキモチをつたえたかったんだとおもう。
ぼくはまだまだいける。止まってしまうようなカンジがまったくない。この黒光りする鉄の足は全然絶好調だ。せかいのはてまで走ってやる。この国を出て、海を走り、ここに地雷をうめたヤツをふみつぶしてやる。ぼくはそのために生まれた。ぼくは、鉄の足をもつ男、チュムペンだ。
今日も日本人観光客がだるそうにバスから降りてくる。ぼくの固そうな足を見て同情をするような表情を見せて目をそらす。ぼくはあかるくはじめましてありがとうと言う。ぼくには夢がある。夢があるから大丈夫だ。多少きつい日もあるが、なにせすごい夢を見た。だから大丈夫だ。
ぼくは、鉄の足をもつ男、チュムペンだ。いまに世界中のわるいものをチュムペンの鉄の足がふみつぶす。
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